会計ソフトの選び方(小規模法人・個人事業主)

(記事内の会計ソフトの機能・料金等については、2019年7月末時点の各社HP上の情報を使用しています。)

小規模法人おいては経営者や従業員が、個人事業においては事業主や家族または従業員が、本業と経理業務を兼務で行っている場合が多いかと思います。会計ソフトを利用すれば日々の経理業務が少し楽になると考えても、数多くある会計ソフトから自社に合ったものを選ぶのは簡単な事ではありません。

今回は、会計ソフトを選ぶときのポイントや注意点などを書いてみました。また、操作がしやすく日々の経理業務から決算・確定申告の書類作成まで行える会計ソフトをいくつか紹介しています。

目次

  1. 1.選び方のポイント
  2. 2.「クラウド型」と「インストール型」
  3. 3.クラウド型会計ソフト
  4.  3.1MoneyForwardクラウド
  5.  3.2freee
  6.  3.3弥生
  7. 4.インストール型会計ソフト
  8. 5.まとめ

1. 選び方のポイント

A.事業形態に合ったものを選ぶ

法人と個人事業、会計ソフトを利用する人数や使用するPCの台数などで、選ぶべき会計ソフトは異なってきます。また法人の規模によっても異なります。中小企業が大企業と同じような会計ソフトを利用すると、不必要な機能が多くコストが掛かるだけとなるでしょう。

B.運用費用から選ぶ

運用費用は、とても大きなポイントとなります。クラウド型ソフトは、月額制や年額制で利用中は継続的に費用が掛かります。市販のパッケージ版ソフトは、購入費用だけで済むと考えられがちですが、改定版購入費用やサポート費用が別途かかることが有ります。

C.セキュリティー面から選ぶ

情報漏洩などが不安で大事なデータは手元のパソコンのみに保存したい。パソコンの故障や紛失が不安で遠隔地の管理されたサーバーに保存したい。限定者だけがアクセスできるようにしたい。など色々な考え方が有ります。

D.顧問税理士が使用しているソフトから選ぶ

税理士事務所や会計事務所と同じ会計ソフトを利用すれば、データの確認や質問事項等のやり取りがスムーズに行えるでしょう。

2. 「クラウド型」と「インストール型」

現在利用されている多くの会計ソフトは、「クラウド型」と「インストール型」の2つに分けることができます。まずは、その違いから入りましょう。

クラウド型会計ソフト

インターネット上で処理を行うソフトを「クラウド型」と言います。インターネットを通じて会計ソフト会社のサーバーにあるソフトウェアなどを利用し、データの保管や管理を行ったりします。会計ソフトやデータは、入力を行っている手元のパソコン等ではなく遠隔地の会計ソフト会社のサーバーに有るのです。インターネット環境が整っていればどのパソコンからでも操作が行えます。

インストール型会計ソフト

市販のパッケージ型ソフトを購入またはインターネット上で購入後、インストールして使用する会計ソフトです。

費用が会計ソフト購入(たまに改定版購入)代金のみで、ソフトがインストールされているパソコンならどこでも使用できます。

2つの主な違いをまとめてみました。

このような違いから、どちらにするのか考えることもできます。

A.「クラウド型」が良い場合

  • 複数人で、同じデータを共有する必要がある
  • ネットバンキングを利用している
  • 経理経験や簿記の知識があまりない
  • 使用しているPCが、Mac である
  • 定期的なデータバックアップ作業を忘れがちである
  • ネット環境が整っているところで作業ができる

B.「インストール型」が良い場合

  • 経理ソフトを使用するのは、経営者または経理担当者のみである
  • 月額制・年額制のランニングコストは抑えたい

今後は、ネットバンキングの利用などキャッシュレス化が進んでいくこともあり「クラウド型」を選ぶ方が大多数かと思われます。

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3.クラウド型会計ソフト

数多くのクラウド型会計ソフトが有りますが、人気ランキング上位の3つについて紹介します。クラウド型会計ソフトでは、無料体験期間が設定されている場合が多くありますので、実際に使用して比べてみることも可能です。

3.1 MoneyForwardクラウド  

仕訳の自動提案などの機能で会計ソフト初心者には勿論、振替伝票形式の入力画面もあるので経理経験者や会計ソフト利用経験者にとっても利用しやすいソフトだと思います。「確定申告または会計、請求書、経費、給与、マイナンバー」の5つのクラウドソフトがパックになっています。

 無料トライアル 一ヶ月間

主な機能

  • 分析アプリに対応
  • 自動仕訳機能、仕訳の自動提案、仕訳ルールの学習機能
  • 他社会計ソフトからの移行にも対応
  • 銀行口座やカードの取引明細の自動取得
  • 確定申告に必要な書類の自動作成、e-Tax対応
  • Windows/Macどちらにも対応
  • メールアドレスで会員登録するだけでご利用可能
  • 使い方ガイドや充実のサポート
  • POS、クラウドソーシングなどと連携可能

プラン比較


◇ 個人事業主向け

「MoneyForwardクラウド 確定申告」

確定申告の電話サポートの有無クラウド請求書の利用できる機能の違いによって3つのプランが有ります。   詳しくはHPをご覧ください。【HPこちらから


◇ 法人向け

「MoneyForwardクラウド会計」

クラウド会計と、クラウド請求書の利用できる機能の違いによって2つのプランが有ります。   詳しくはHPをご覧ください。【HPこちらから

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3.2 freee

「収入、支出、発生日、金額」などが表示されている入力画面や、完全自動仕訳など経理未経験者や簿記知識のない方にも利用しやすい会計ソフトです。入力画面に「借方」「貸方」がないので経理経験者は、最初は少し戸惑うかもしれません。

無料お試し期間 30日間 

主な機能

  • POSレジ、クラウドソーシングなどと連携可能
  • 取得したデータを自動的に仕訳に変換する自動経理機能
  • 請求書作成時に売上の自動仕訳が登録、入金時に自動で請求書とのマッチング、回収チェックが可能な請求書作成機能(個人事業主向けスタータープランを除く)
  • freee独自レポート(債権債務管理・資金繰り・予実管理など)の自動生成
  • スマートフォンアプリで領収書やレシートを撮影し登録可能
  • 銀行口座やカードの取引明細の自動取得機能
  • Windows/Macどちらにも対応
  • 確定申告に必要な書類の自動作成、e-Tax対応
  • 使い方ガイドや充実のサポート

プラン比較


◇ 個人事業主向け

サポート内容や請求書作成機能(上記③)、消費税申告対応の違いによって3つのプランが有ります。    詳しくはHPをご覧ください。【HPこちらから


◇ 法人向け

電話サポートの有無、利用可能者(ID)数や取引登録数の違い、そして利用できる機能の違いによって2つのプランが有ります。   詳しくはHPをご覧ください。【HPこちらから

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3.3 弥生

販売実績が10年以上トップの会計ソフトは、簡単に使えるシンプル機能と業界最大規模のカスタマーセンターによる充実したサポートで、初心者でも安全に利用できます。(プランにより受けられるサポート内容が異なります。)弥生のクラウド型会計ソフトには、個人事業主向けと、法人向けの2つのソフトが有ります。

2つのソフトに共通する主な機能

  • 銀行口座やカードの取引明細の自動取得
  • レシート・領収書をスキャニングやスマホアプリで撮影してデータ取込み
  • 自動仕訳機能
  • 確定申告に必要な書類の作成
  • Windows/Macどちらにも対応
  • かんたん取引入力機能で、簿記知識がなくても複式簿記帳簿を自動作成

◇ 個人事業主向け

「やよい の青色申告オンライン」

複式簿記や会計の知識や経験の多少にかかわらず、簡単な入力作業だけで青色申告ができます。初めての方でも、画面の案内に沿って入力していくだけで確定申告資料が作成できます。

 第一票・第二表のみに対応しています。第三表・第四表は、インストール型会計ソフト「やよい の 青色申告19」や「弥生会計」で対応しています。

上記の共通する主な機能以外に、青色申告に必要な帳簿などの資料の自動集計・作成機能が有ります。

プラン比較

会計ソフトの全機能が使用できますが、選択するサポートのプランにより料金が異なります。

   詳しくはHPをご覧ください。【HPこちらから


◇ 法人向け

「弥生会計オンライン」

初心者でもすぐに使い始められ、帳簿付けから経営状況の確認、試算表、決算資料まで簡単に作成できます。

上記の共通する主な機能以外に、次のような機能が有ります。

  • 会計帳簿の自動集計・作成
  • 取引の集計結果をグラフ表示
  • 決算書の自動作成

 プラン比較

会計ソフトの全機能が使用できますが、選択するサポートのプランにより料金が異なります。

※最大2か月間無料で体験できる「無料体験プラン」も有ります。無料体験プランでは、全機能とセルフプランのサポートが利用可能です。ただし、決算書作成機能は利用できません。

   詳しく方はHPをご覧ください。【HPこちらから

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4.インストール型会計ソフト

「会計ソフトを使用するのは1人だけ」、「現金取引がほとんどで、ネットバンキングの利用予定もない」などの場合、やはりインストール型を選ぶ方も少なくありません。インストール型の会計ソフトは、オープン価格の場合が多いので、家電量販店やネット上の価格を比較してみると良いでしょう。

今回はインストール型会計ソフト売上トップの「弥生」シリーズの中から、個人事業主向け「やよい の青色申告 19」、中小規模法人向けの「弥生会計19」について紹介します。

「やよいの青色申告19」は、初心者でもかんたんに使える個人事業主専用確定申告ソフトです。

主な機能

  1. 多様な入力方法
  2. 分からない仕訳を検索して仕訳登録できる仕訳アドバイザー
  3. 残高試算表の自動集計

「弥生会計19」は、初診者でもすぐに使い始めることができ、日々の帳簿付けから試算表や決算資料まで作成することができます。

主な機能

  1. 多様な入力方法
  2. 試算表など各集計表を素早く確認
  3. 資金繰り資料も確認・管理
  4. 経営分析、予算管理機能で経営状況をリアルタイムに把握
  5. 自動集計されたデータの転記で決算資料の作成

「弥生」シリーズで特筆すべきは、「あんしん保守サポート」というサポートプランです。プラン毎の主なサービスメニューをまとめてみました。

選択するサポートプランにより会計ソフトの料金が異なります。各ソフトの詳しい機能や料金についてはホームページをご覧ください。

初めての方には、電話やメールでサポートが受けられるベーシックプランがお勧めです。また、人材確保で大きなポイントとなってきている福利厚生制度の充実に、サービスメニューの「福利厚生サービス」を利用してみては如何でしょう。

弥生のインストール型ソフトに関するHPをまとめました。

「やよいの青色申告19」【ソフトについて

「やよいの青色申告19」【サポートプラン別価格表

「弥生会計19」【ソフトについて

「弥生会計19」【サポートプラン別価格表

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5.まとめ

次々と新しい会計ソフトが発売されています。クラウド型ソフトの多くでは無料体験期間が設定されていますので、入力方法や機能などが自社に合っているのか実際に使用してみると良いでしょう。

クラウド型ソフトでは、料金プランの改定が時々行われますので、購入前には必ず確認を行って下さい。料金の改定・優待価格、バージョンアップやキャンペーンなどの情報は各社ホームページで確認できます。