定款の作成方法 ~専門家に依頼した方が費用が安い?~

会社設立の手続きの中でも難しいと言われるのが「定款」の作成です。定款は大事な会社のルールですので、こだわりが強いほど作成が大変でしょう。

この記事では定款にはどんな要素が必要か、作成方法を詳しく説明していきます。

ただその前に、実は定款作成は外部に依頼したほうが安く、そして正確にできるというメリットがあるのをご存知ですか? まずはそのことについてご紹介します。 やはり自分で作成したい、という場合は2章からご覧ください。

まずは定款作成の依頼についてご紹介させていただきます。

 

0-1.どこに依頼すればいいの?

定款認証を代理で行う事が出来るのは、司法書士と行政書士です。どちらに依頼すればよいのでしょうか。

 

0-1-1.司法書士を選ぶメリット ~定款作成から登記手続きまで任せられる~

一番大きな違いは、定款認証後の登記を行えるかどうか、です。定款の認証から会社設立の登記手続きまでワンストップで請け負う事が出来るのは司法書士のみで、行政書士は定款認証までしか行えません。

0-1-2.行政書士を選ぶメリット ~許認可申請のプロ~

事業内容によっては行政書士に依頼する方が良い場合もあります。

例としては、事業開始にあたり許認可が必要な場合です。許認可を受けなければならない事業は多く存在しているのですが、行おうとしている事業に許認可が必要なのかを知らずに起業を進めてしまう方も多くいらっしゃいます。許認可を申請せずに会社の登記を行ってしまうと、会社は存在しているのに行いたい事業を開始する事が出来ず、再度申請しても許可が下りるまで長い期間がかかる事になってしまいます。そうならないよう許認可が必要かどうかを調べる必要がありますが、許認可の種類は多く、細かい所までは把握できない場合があります。このような場合には、市区町村や都道府県の行政機関を業務相手としている行政書士の方がスムーズな設立を支援してくれる可能性が高いでしょう。

 

0-2.依頼すると費用が増えるのでは?

自分で作成する費用に更に報酬を払わなければならないのでは、と思ってしまいますが、依頼した方が費用が掛からない場合もあります。

依頼した場合、多くの司法書士、行政書士は電子認証を行っています。詳細は後述させていただきますが、通常の認証で掛かる収入印紙代4万円が電子認証では一切掛かりません。

それでは、自分で定款を作成して、自分で電子認証を行えば良いのでは?とお考えになる方もいらっしゃるかと思います。電子認証を行うには、電子署名が可能なAdobeAcrobat等のソフト、電子署名に必要なICカードリーダライタ、マイナンバーカード、電子証明書等の様々な備品を準備しなければならず、全てを揃えると削減したはずの4万円を超えてしまう事もあります。

ここで定款の作成と認証にかかる費用の目安をご覧ください。

※依頼した場合の報酬額は司法書士、行政書士等依頼先によって異なります。

自分で全ての手続きを行った場合より少ない費用で、専門家に全てを任せられるので大きなメリットになるのではないでしょうか。

それでは本題の定款の作成方法をご説明します。

1.定款とは?

定款とは、会社の商号(会社名)、事業目的(事業内容)、本店所在地(会社の住所)、役員の選任方法、資本金額等の基本的な会社のルールを定めたもので、会社設立の手続き上で必ず作成しなければならない重要な書類のひとつです。

 

定款に記載された内容は、ただ単にルールを記しているだけではなく、内容によっては後々の税額にも影響してきます。

例えば、資本金の金額を1,000万円以上に設定した場合と、1,000万円未満に設定した場合では異なるメリットがあります。

後ほど各項目にて詳しく説明させていただきます。

<定款見本.pdf>

 

 

1-1.定款はなぜ必要?

会社は、管轄する法務局で登記申請を行って初めて会社として認められます。この登記申請の手続きで必要な書類のひとつに公証人の認証済みの「定款」があるため、定款は必要なのです。ただし、合同会社、合名会社、合資会社のような持分会社は定款の認証は必要ありません。

 

1-2.定款に記載する事項

定款に記載する事項は大きく分けて以下の3種類です。

1.絶対的記載事項

法律上、絶対に定款に記載しなければいけない事項です。記載が無ければ定款自体が無効になってしまいます。

2.相対的記載事項

決定した際には必ず記載しなければならない事項です。定款自体の効力には影響しませんが、相対的記載事項を定款に定めておかないと効力を発揮しません。

3.任意的記載事項

自主的に定款に記載する事項です。

 

1-2-1.絶対的記載事項

①商号

会社の名前です。商号の付け方には以下のようなルールがあります。

・株式会社なら「株式会社」という言葉を㈱等で省略せず漢字で入れなければならない。

・使用可能な文字(登記統一文字)や記号のみ商号に用いる。

・ローマ字は使用出来る。

・複数のローマ字の単語を区切る場合のみスペースを使用出来る。

・符号は最初と最後には使用出来ない。

・「支店」、「支社」等の部門を表す文字は使用出来ない。

同じ本店所在地に同じ商号の会社を設立することは出来ません。このルールを「同一商号、同一本店の禁止」と呼びます。このルールに触れてしまうと登記申請が却下されてしまいますが、定款認証時に公証人は同一商号の会社の有無は調査してくれませんので、会社の登記申請時にはもちろん、本店移転の際には事前に確認しておきましょう。

【定款見本】

 

②事業目的

原則、定款で定めた事業目的の範囲内で事業を営む事が出来ます。

定款の事業目的に記載されていない事業は行う事が出来ませんので、以下のポイントに注意しましょう。

・その会社が何をする会社なのかが分かるように記載する。

・将来やる可能性がある事業を書き忘れないようにする。

・記載数に上限は無いが書きすぎに注意する。

 →銀行等で融資を頼む際に、融資担当者の判断材料のひとつとして、定款に記載されている事業を達成出来るのか、という点があります。達成されそうにないなら返済は難しそうだと判断され融資を断られてしまう可能性があるので注意が必要です。

・法律に違反するような事業目的は登記出来ないため、法律違反していないかの確認が必要。

・行う業務が許認可制の場合は定款にその業務が記載されていないと許認可を受けられない事もある。

定款を作成する際にやりたい事業だけではなく、将来的に会社をどうしていきたいのかをよく考えて事業

目的を記載しましょう。

【定款見本】

③本店の所在地

会社の本店が所在している場所の事を指します。制限は特にありませんので、以下のポイントに注意しましょう。

・賃貸のマンションやアパート等を本店所在地として考えている場合は、会社の事務所としての使用が認められていない場合があるので、事前に賃貸借契約書の確認と、大家さんへ了承を得ましょう。

・「独立の最小行政区画」までのみの記載が認められています。

                                        

 →将来本店が移転する可能性がある場合は、独立の最小行政区画までの記載にしておくと、同じ区画の中での移転であれば定款を変更しなくても済むため、定款変更のコストの削減に繋がります。

  最小行政区画は市区町村の事を言います。ここに含まれている区とは、一般的に東京都の特別区(23区)を指すので、横浜市や仙台市などの政令指定都市で区がついても行政区画には該当しないため、○○市までが最小行政区画となります。

 例)横浜市磯子区東町15-32 → 横浜市

【定款見本】

 

 

④会社の設立に際して出資される財産の最低額及び成立後の資本金の額

資本金とする予定額です。資本金の最低金額に関する決まりが撤廃され、資本金が1円でも会社を設立できるようになりました。しかし、資本金の額は会社の「体力」として見られる事があるため、法で定められていないからといって安易に資本金を1円とするのは良い選択とは言えません。

それでは資本金額はいくらにすればよいのでしょうか。

業種によって異なりますが、100万円~300万円としている人が比較的多いようです。ある程度の売り上げが見込めるまでの間、滞りなく支払が出来る運転資金として資本金額を設定してみましょう。また、資本金額が許認可に関わる場合は、条件を満たせるような金額設定も必要となってきます。

最後に資本金額ごとのメリットをご紹介いたします。

【定款見本】

⑤発起人の氏名または名称及び住所

この発起人とは、会社を設立するにあたって、定款を作成したり出資者として資本金を払い込んだりする設立登記に関する業務を行う人の事です。市区町村から発行される印鑑証明書に記載されている通り、「丁目」や「番地」も省略せずに正確に記載する必要があります。発起人の氏名または“名称”となっているのは、発起人は法人がなる事も出来るためです。

【定款見本】

⑥発行可能株式総数

 会社設立時に実際に発行する株式数とは異なるもので、定款の変更をせずに発行が可能な株式数の総数の事です。株主総会の決議によらず、取締役会の決議のみで新しく発行出来る株式の上限数の事でもあり、この制度は「授権株式制度」と呼ばれています。

なぜ定款に発行可能株式総数を定めなければならないのかというと、理由は二つあります。まず一つ目は、迅速に資金を調達するためです。新株発行の権限が株主総会にあると、株を発行する度に株主総会を開催しなければなりません。発行可能株式総数を定める事で取締役会の開催のみで株式発行が可能となるので、株主総会の開催と比べると迅速に株式を発行することが出来ます。二つ目は、取締役会で上限無く株式を発行し、既存株主の持ち株比率を下げてしまうのを防ぐためです。

 ・発行可能株式総数の決め方

 株式の譲渡を自由に出来る公開会社の場合、発行可能株式総数は既に発行されている株式の四倍以下でないといけません。しかし、株式の譲渡に会社の承諾が必要となる非公開会社の場合は、発行可能株式総数に上限はありません。将来的に増資しようと考えている金額を目安に発行可能株式総数を決定するのが良いでしょう。

 

【定款見本】

1-2-2.相対的記載事項(記載例)

相対的記載事項には以下のような項目があります。

  • 変態設立事項

※施設の消耗等で手続きにとても手間が掛かるため、実際に使用されることは稀です。

  • 現物出資に関する事項

通常は株式の対価として金銭を出資しますが、発起人に限り、事業用として使用する土地や社用車等、金銭以外の現物出資が認められています。現物出資者の氏名、財産の内容及び価額、出資者に割り当てられる設立時の発行株式数の記載が必要です。

  • 財産引き受けに関する事項

会社設立を条件に特定の財産を譲り受ける契約がこの事項にあたります。財産引き受けは発起人だけではなく、第三者からの財産も譲り受ける事も出来ます。譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名または名称の記載が必要です。

  • 発起人が受ける報酬に関する事項

発起人は会社設立のための労務の対価として報酬を受ける事ができます。発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名または名称の記載が必要です。

  • 会社が負担する設立費用に関する事項

会社が設立費用を負担する場合、設立に関する費用の記載が必要です。

 

これらの変態設立事項については検査役の調査が義務付けられています。しかし、次の場合は検査役の調査は不要となります。

・定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合

・市場価格のある有価証券について、定款に記載された額がその時価を超えない場合

・価額が相当であることについて弁護士、公認会計士、監査法人等の証明を受けた場合

 

②株式譲渡制限に関する事項

本来、株式の譲渡は自由なのですが、制限しない事で会社売買や経営権の侵害に関わる事態になる可能性も十分にあります。定款に定めることによって、会社にとって脅威となる株主が生まれることを防ぐことが出来ます。発行する全部の株式又は一部の株式に設定することができます。この定め方により、会社の機関設計や役員の任期、株主総会等の決議要件など多方面に影響を及ぼします。株式の譲渡をする場合の承認機関は取締役会、株主総会、代表取締役会、会社等を定める事が出来ます。

 

③監査役や代表取締役、取締役会などの会社の機関に関する事項

・監査役、代表取締役

株式会社の場合、取締役の設置は必須ですが、監査役、代表取締役は任意の設置機関であるため、設置する場合は定款に定めなければなりません。

 

 

ちなみに・・・

代表取締役と社長の違いはご存じですか?代表取締役=社長と思われがちですが、厳密に言うと少し違います。

代表取締役=会社を代表する役職で法律で使われている用語。取締役が複数人いる場合の代表。

社長=取締役が決めた会社の方針を、他の従業員たちに指示を出して執行する役職。

 

・会計参与

 会計参与の役割は、取締役と共に計算書類や付属明細書、臨時計算書類等の作成です。会計参与になる事ができるのは、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人です。

・取締役会

 公開会社は必ず取締役会を設置しなければなりません。非公開会社でも取締役会の設置を定款で定めれば設置することが出来ます。取締役会を設置した場合には、取締役を3人以上選任しなければなりません。監査役に関しては、会計監査に限定されていれば取締役会の出席義務はありません。

・取締役等の任期に関する事項

非公開会社の場合、取締役等の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結のときまで伸長することができます。

 

④その他

・単元株式に関する事項

一定数の株式で、株主が株主総会において1個の議決権を行使することができる旨を定款に定める事が出来ます。

・剰余金配当に関する事項

 本来、剰余金の配当は株主総会の決議がなければ行えませんが、剰余金の配当は定款に定めることで、1回に限り取締役会の決議によって剰余金を配当出来ます。

 

・清算人に関する事項

 会社が解散した際、代表取締役ではない者を清算人にする場合は定款に定めておかなければなりませんが、多くの場合は代表取締役が清算人となっています。また、株主総会で清算人を選定することも可能です。

 

1-2-3.任意的記載事項(記載例)

・事業年度

事業年度は1年以内の期間で定めます。株主総会の承認を受けるために、その事業年度の計算書類等を作成する必要があります。

・株主総会の議長

一定の役職(取締役等)の人が議長となる旨を定款で定めておくと、議長の選任を毎回行う手続きが省

けます。

・基準日

株式会社は、一定の日を定めて、その日において株主名簿に記載(又は記録)されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができます。(会社法第124条第1項)

この一定の日を「基準日」といいます。

・定時株主総会の招集時期

毎事業年度の終了後、一定の時期に株主総会を招集しなければなりません。基準日を設けた場合は、その基準日に係る株主総会の開催は3ヶ月を超える事が出来ないため、毎事業年度末の3ヶ月以内としている会社が多いです。

・取締役、監査役の員数

会社法の規定に反しない限り自由に定められます。ただし、取締役会を設置していない会社は取締役が1名以上、取締役会を設置している会社は取締役が3名以上と監査役が1名以上と定められています。

 

2.原始定款と現行定款

2-1.原始定款と現行定款の違い

定款には、原始定款と現行定款の二種類の定款があります。

・原始定款

原始定款とは、会社設立の手続き上で公証人の認証を受け、その効力が生じた定款の事を原始定款と言います。

・現行定款

現行定款とは、原始定款に対して随時内容を更新し、現在効力のある定款の事を現行定款と言います。事業を運営していくにあたり、本店の所在地、目的、役員の変更等で会社の実情が変化すれば、それに合わせて定款の内容を更新していかなければなりませんが、現行定款には公証人の認証は必要ありません。なお、銀行や役所から定款の提出を求められた場合に必要になるのがこの現行定款です。

 

3.定款の作成後から認証までの流れと費用

・管轄の公証役場を調べる

まずは、作成した定款をどこの公証役場に持っていけばいいのか確認をしましょう。

【公証役場一覧】

http://www.koshonin.gr.jp/list

公証役場であれば全国どこでも良いというわけではなく、本店所在地と同じ都府県にある公証役場でなければなりません。

※北海道の場合は法務局の管轄が4つの区分(札幌法務局、函館地方法務局、旭川地方法務局、釧路地方法務局)に分かれており、本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場で承認を受ける必要があります。管轄の法務局を調べる場合は下記URLで調べることが出来ます。

【法務局 管轄のご案内】

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

・公証役場で定款をチェックしてもらう

作成した定款をいきなり提出しても、何か不備があった場合は、修正後に再度公証役場への提出が必要となり、こちらも公証役場も手間と時間が余計に掛かってしまいます。こうした手間と時間を省くため、公証役場では定款の事前確認を薦めています。

各公証役場によって事前確認依頼の方法が違いますので、事前に提出する公証役場に確認しましょう。

一般的には、まず公証役場に電話をかけ定款の認証を依頼したい旨を伝えましょう。その後、支持された書類(作成した定款・委任状・印鑑証明書の写し、実質的支配者となるべき者の申告書)をファックスやメールで送り確認してもらいます。事前確認が終わったら、公証役場から修正箇所の有無について連絡が入ります。

定款の修正があった場合は、作成者全員の訂正印が必要になります。

【実質的支配者となるべき者の申告書(PDF)】

http://www.koshonin.gr.jp/pdf/declaration_company20190514.pdf

・公証役場での定款認証

定款の修正を行い無事に不備が無くなれば、公証役場と定款認証日時の日程調整を行います。

約束した日にちに以下のものを公証役場に持参します。

  • 定款(原本)3通

1通は公証役場保存用、1通は登記申請用、1通は会社保存用の原本となります。

  • 発起人全員分の印鑑証明書 1通ずつ(発行後3ヶ月以内)

人違いを起こさないために必要な書類です。定款に記載された各発起人の氏名、住所や押印の正確性を確認出来ます。

  • 発起人全員分の実印

定款に不備があった場合、修正個所に発起人全員分の押印が必要になるため、スムーズに修正を行うことが出来ます。

  • 定款認証手数料 5万2千円/件
  • 収入印紙代 4万円/件
  • 定款の謄本交付手数料 250円/ページ
  • 会社が発起人の場合は会社の登記簿謄本

 新しく設立する会社の目的と同種の事業が掲げられている事を確認します。

 

4.定款の変更の流れ

定款の作成方法と認証までの流れは把握していただけたかと思います。

次は、会社の住所の変更、事業目的の追加など、会社を運営していく上で変化が生じた場合に定款を変更する流れをご説明します。

定款の内容の最終決定権があるのは株主であるため、株主総会での定款変更の決定が必要になります。株主総会で定款の変更を決定し、議事録に残すことが定款の変更となります。

設立時のように公証役場で公証人の認証を受ける必要はありません。

しかし、絶対的記載事項に変更が生じた場合は法務局にて登記申請を行う必要があります。

登記申請を行うと登録免許税である3万円がかかります。なお、本店移転の登記については本店が他の法務局の管轄する地域に移転する場合は他の項目と同時に行う場合でも旧本店所在地と新本店所在地の両方で登記申請が必要になるため、登録免許税が6万円になります。

5.電子定款の作成方法

 5-1.電子定款とは

 PDF化し、電子署名を付与して公証役場で認証を受けた定款の事です。

 5-2.電子定款のメリット・デメリット

メリット

・コストが削減できる

電子定款は印紙税法では文書扱いにはならないため、収入印紙代4万円が不要になります。

デメリット 

・電子署名の機器を購入しなくてはならない

電子署名可能なソフトを使用しなければならないため、AdobeAcrobat等のソフトの購入が必要です。また、電子署名に必要なICカードリーダライタ(安い物で2,000円~3,000円)、マイナンバーカード(当面は交付無料)、電子証明書(費用は発行する認証局による)も必要となります。既にこれらのソフトや機器があれば費用の削減につながりますが、全て揃えると削減した収入印紙代と同程度からそれ以上の出費となります。

 

5-3.電子定款作成、電子認証方法

  • 定款の作成

作成までは文書作成ソフト(word等)で行うので、紙の定款と同じです。

  • PDFファイルに変換

PDFに変換するだけなら無料のソフトもありますが、電子署名の機能がついたPDFファイルに変換する必要があるため、AdobeAcrobat等の有料ソフトで変換します。

  • 電子署名を付与する

マイナンバーカードを取得し、電子証明書を発行します。ICカードリーダライタを使用してマイナンバーカードに記録された電子証明書を読み込み、PDF署名プラグインソフトを利用して電子署名を付与します。

  • 公証役場で認証を受ける

電子定款の場合でも公証役場に行き認証を受けなければなりません。また、送信手続きが終わった後、公証役場から連絡がくるので、公証役場に出向いてCD-RやUSBメモリに記録された電子定款データを受け取ります。

 

まとめ

定款をいちから自分で作成、認証まで行うのは手間も時間も掛かります。さらに費用も少なくなるので、ぜひ専門家への依頼を検討してみてください。