「個人事業主が支払うべき税金等」について

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貴方は自分が納めている税金について、どのくらい知っていますか?

もし貴方が会社員なら、給料から天引きされて税金を納めている事さえ意識せずにいるのではないでしょうか。しかし、個人事業を始めたら事業主はいくつかの税金を納める(支払う)こととなります。たとえ起業したばかりで赤字になっていても、前年に収入が有れば税金の支払が必要となります。所得税や住民税などは前年分の所得にかかってくるのです。今回は個人事業主として起業する時に気をつけたい税金や、健康保険について紹介します。

目次

  1. 事業主として知っておきたい主な税金6+1
  2. それぞれの税についての説明
  3. 従業員を雇用すると加わる税と保険について
  4. 納税タイムスケジュール
  5. 税金の納付方法について
  6. 税と社会保険Q&A と 問合せ先

1.事業主として知っておきたい主な税金6+1

最初に、税金の種類や課税条件等をまとめた一覧表をご覧ください。

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個人事業主は、個人の確定申告を行う必要が有ります。特に所得税・復興特別税は確定申告期限までに納付もしなくてはなりませんので、早めに準備を行いましょう。

2.それぞれの税についての説明

  1. 所得税・復興特別所得税[国税]
  2. 住民税[地方税]
  3. 個人事業税[地方税]
  4. 消費税[国税]・地方消費税[地方税]
  5. 固定資産税[地方税]
  6. 償却資産税[地方税]
  7. 国民健康保険料(税)

2-1 所得税・復興特別所得税[国税]

  • 事業主自身の所得にかかる税金です。
  • 前年分の所得の確定申告書を作成し、2月16日~3月15日の申告期間(年により前後する事が有ります)に確定申告を行い、算出した所得税を納付します。
  • 納付期限は原則3月15日(その年の確定申告の提出期限日)です。「振替納税」を選択している場合は4月中旬から下旬となります。( 「5.税金の納付方法」をご覧ください。 )
  • 納付期限の翌日から納付日まで延滞金がかかります!
  • 復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興の施策を実施するための財源確保を目的とした税金です。平成49年まで各年分について、復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。

※確定申告を「青色申告」で行うと、青色申告特別控除などの特典を受ける事ができます。詳しくは節税の木『個人事業主が知っておきたい「青色申告」5つのメリット』をご覧ください。


計算方法
  ※この記事では、個人事業主の事業(不動産等の貸付業を除く)による所得について説明します。(山林所得、譲渡所得に該当するものを除く。) 

①課税総所得金額を求めます。

   課税総所得金額 = 総収入金額 - 必要経費 - 所得控除 

*主な所得控除としては、基礎控除・医療費控除・保険料控除・青色申告特別控除などが有ります。配偶者控除・扶養控除については、家族への給与等の条件が有ります。zei2

②所得税額を求めます。右表の課税総所得金額の該当する税率、控除額を用います。

 

   所得税額 = 課税総所得金額 × 税率 - 控除額 

例:前年の課税総所得金額が310万円の場合、税率10%、控除額97500円

3,1000,000 × 0.1 - 97,500 = 212,500   所得税額は212,500円となります。

③基準所得税額を求めます。

   基準所得税額 = 所得税額 - 所得税額から差し引かれる金額* 

                    * 住宅借入金等特別控除や寄付金特別控除など

④復興特別所得税額を求めます。

   復興特別所得税額 = 基準所得税額 × 2.1% 

⑤納付する税額を求めます。

   納付税額 = 基準所得税額 + 復興特別所得税額④  

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2-2 住民税[地方税]

  • 1月1日に住所がある自治体に納める税金で、各種行政サービスを行うための資金として使用されます。
  • 所得税の確定申告書を提出していれば、特に申告の必要ありません。
  • 前年分の収入をもとに当年の住民税額が決定され、6月に納付通知が各地方自治体から送付されます。その時点での収入が、前年に比べ減少した場合や無収入の場合でも、前年収入額で決定した住民税を納める事となります。
  • 6月に全額を納める「一括納付」か、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納める「分割納付」を選択する事が出来ます。
  • 住民税には「都道府県民税」と「市町村民税」が有り、都道府県民税と市町村民税を併せて市町村へ納めます。ただし、東京23区では「特別区民税」が有り、都民税と特別区民税を各区へ納める事となります。
  • 住民が均等に負担する「均等割」、一定額以上の収入のある方に所得に応じて課税される「所得割」が有り、その合計額を納付します。住民税額の税率等は各自治体により異なります。

計算方法 :

   住民税 所得割(課税総所得金額×所得割税率)+ 均等割    

参考 : 横浜市と東京都の住民税(2015年8月20日現在)

  •   横浜市の住民税(県+市)       所得割税率10.025% 均等割6200円
  •   東京都の住民税(都+市町村・特別区民) 所得割税率10% 均等割5000円

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2-3 個人事業税[地方税]

  • 事業を行っている場合に所得や収入に応じて課税される地方税で、事務所・店舗等所在地の都道府県に納めます。
  • 所得税の確定申告書を提出していれば、特に申告の必要ありません。
  • 個人事業税の納付が必要な方のみ、8月に納税通知書が送付されます。(遅れて9月送付となった場合は、納付期限も変更されます。)
  • 2回(8月と11月)の分割納付となります。一括納付の可能な地域も有ります。
  • 年間事業所得が事業主控除の額以下の場合、納税は不要です。
  • 事業主控除は290万円です。ただし、事業開始からの期間(営業月数)が1年未満の場合、事業主控除は月割額(290万円÷12×営業月数)となります。
  • 法定業種別に税率が異なります

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税率3%、4%の業種は右の表のようになっています。 その他多くの業種は、5%です。

計算方法 :

   個人事業税 =(課税総所得金額 - 事業主控除)× 税率

* 課税総所得金額については、前記1所得税の計算式①をご確認ください。

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2-4 消費税[国税]・地方消費税[地方税]

  • 売上に伴い購入者から預かっている消費税から、仕入などに伴い支払った消費税を引いた差額を納税します。
  • 原則として開業して2年間は免税事業者なので、納付する必要は有りません。
  • 課税売上高が1,000万円を超えていた年の2年後、消費税を納める義務が発生し課税事業者となります。ただし、上半期だけで課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2年後ではなく翌年に課税事業者となります。
  • 納付期限は、原則3月31日です。ただし、「振替納税」を選択している場合は4月中旬から下旬となります。(* 「5.税金の納付方法」をご覧ください。)

2-5 固定資産税[地方税]

  • 土地・建物にかかる税金です。事務所や店舗が賃借等でなく、自己所有の場合にかかってきます。
  • 申告は不要です。毎年1月1日現在の土地・建物の所有者に対し、市区町村から納付書が送られてきます。
  • 年4回に分けて納付しますが、納付期間(月)は、各自治体により異なります。

2-6 償却資産税[地方税]

  • 固定資産税の一つです。土地・建物以外の所有資産(例えば、事務機器類、看板、レジスター、厨房用品、機械装置類など)で、事業のために使用することのできる資産を償却資産といい、それにかかる税金です。
  • 所有する全償却資産を「資産の取得年月、取得価格、耐用年数、原価率」などを用いて償却資産毎に求めた評価額の合計「課税標準額」が150万円未満となる場合は課税されません。
  • 課税の有無に係わらず、毎年1月1日現在の償却資産の所有状況を、その償却資産の所在する市区町村に1月31日までに申告する必要が有ります。
  • 年4回に分けて納付しますが、納付期間(月)は、各自治体により異なります。

※ 青色申告を行っている場合は「少額原価償却資産の特例」で、30万円未満の少額原価償却資産については、一括して必要経費として計上することができます。

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2-7 国民健康保険料(税)

  • 保険料と保険税は、運営する市区町村がどちらを選ぶかによります。基本的には同じものですが、滞納が有った場合の徴収権の消滅時効などに違いが有ります。
  • 前年度の所得額や都道府県によって保険料(税)は変わってきます。
  • 6月に保険料額通知書が送られてきます。4月~翌年3月分の保険料を6月から翌年3月までの全10回に分けて納めます。
  • 退職等により職場の健康保険をやめた時(退職翌日付で失効)には、国民健康保険の加入資格が発生します。その日から14日以内に届出・手続を行わなければなりません。
  • 年度の途中で加入資格が発生した場合は、加入資格の発生月から国民健康保険料を納めなければなりません。届出を行った月では有りませんので注意して下さい。

※ 国民健康保険以外に、次の健康保険を選択する事も可能です。ただし、以前の健康保険からの切り替えに1日でも期間が有ると、国民健康保険の加入資格が発生し納付義務も発生します。退職日の翌日付で手続を行えるようにしましょう。

  • 退職した会社で加入していた健康保険組合の任意継続を行なう。(最長2年)
  • 家族の加入している健康保険の扶養家族に入る。(年収などの条件が有ります)
  • 健康保険組合(医師・歯科医・弁護士・税理士・美容師・大工・芸能など同業者間で都道府県ごとに設立した医療保険)に加入する。

※ 厚生年金保険に加入していた方が退職した場合、国民年金へ切り替える必要が有り「国民年金第1号被保険者」となる手続きを行います。ただし、配偶者が加入する健康保険の被保険者となる条件を満たす場合には、「国民年金第3号被保険者」となるための手続きが必要です。

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3.従業員を雇用すると加わる税と保険について

従業員を雇用した場合は、給与支払の際に給与より源泉所得税を天引き(源泉徴収)して預かり、翌月10日までに納税する必要が有ります。

ただし、給与の支払い人員が10人未満の場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出することで次のように年2回、半期分をまとめて支払う事も可能です。

  • 1月分から6月分までの源泉所得税をまとめて、7月10日までに納付
  • 7月分から12月分までの源泉所得税をまとめて、翌年1月20日までに納付

また、次のような保険に加入が必要となる場合も有ります。zei41

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4.納税タイムスケジュール

納税タイムスケジュールで申告期間、納税通知書の届く時期、税金の納付期間について確認をしてみましょう。zei5

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5.税金の納付方法について

所得税と消費税は、ご自身で申告した税額等に基づき納付期限までに納付しなければなりません。住民税や個人事業税などの地方税は、届けられる納付通知書に基づき納付することとなります。納付方法には次のような方法が有ります。

5-1.「現金納付」現金に納付書を添えて金融機関などで納付する方法

(1)現金に納付書を添えて、所在地等の所轄税務署や自治体の納税窓口で納付します。

(2)税務署から送付又は交付されたバーコード付き納付書(納付税額30万円以下の場合に限る)を使用して、コンビニエンスストアで納付を行います。

※所得税の確定申告をされる方でコンビニエンスストアでの納付を希望される方は、申告書の提出時にその旨をお伝えください。

5-2.「振替納税」指定した金融機関の預貯金口座から自動的に振り替えて納税する方法

金融機関等に出向く事もなく、納付を忘れて延滞金が発生するという事もなくなります。また所得税と消費税については、振替納税にすると納付期限が遅くなります。(前記の税金の種類課税条件一覧表をご覧ください)

口座振替依頼書を提出し手続を行った税金については、毎年指定された口座からその年の納税額が自動的に引き落とされます。(転居等により再度振替納税の手続きが必要となる場合が有ります。)

地方税でも振替納税を利用できる自治体が増えてきています。所在地等の自治体にご確認ください。

5-3.「電子納税」インターネットを利用して納付する方法

自宅に居ながらにして納付手続が行えますので、金融機関等に出向くことも、窓口の受付時間を気にする事もなく納付することができます。ただし、領収書は発行されませんのでご注意ください。

また、地方税については自治体により対応していない場合も有りますので、所在地等の自治体にご確認ください。

電子納税には『ダイレクト納付』と『ネットバンキング等を利用して納税する方法』が有りますが、いずれも利用するには事前に「開始届出書」の提出が必要です。

(1)ダイレクト納付 : (国税:e-Tax)や(地方税:eLTAX)を利用して、電子申告等又は納付情報登録をした後に、簡単な操作で届出をした預貯金口座からの振替により、即時又は指定した期日に納付する事ができます。

(2)ネットバンキング等を利用して納税する方法 : ネットバンキングやATMなどから振込みを行い納付する方法です。

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6.税と社会保険Q&A と 問合せ先

Q1.住民票のあるA市とは別のB市に事務所を所有している場合、住民税は2ヶ所に納付するのですか?

⇒ A1.住民票のあるA市には均等割と所得割の合計額を納付、B市には均等割のみ納付する事になります。

Q2.インターネットバンキングを利用していなくても、電子納税はできますか?

⇒ A2.電子納税の「ダイレクト納付」を利用することができます。電子納税には、届出をした預貯金口座から引落しによって納付する「ダイレクト納付」と、インターネットバンキングから振込を行う「インターネットバンキングによる電子納税」が有ります。

Q3.消費税の免税事業者なのですが、お客様から預かった消費税は、どうすれば良いのでしょう?

⇒ A3.消費税の納付は不要です。ただし、預かった消費税も所得となり所得税がかかります。

Q4.課税事業者から免税事業者に戻ることはないのですか?

⇒ A4.課税売上高が1,000万円以下になった年の、2年後は免税事業者に戻れます。

Q5.従業員を雇用して社会保険に加入した場合、個人事業主も社会健康保険・厚生年金保険に入れるのですか?

⇒ A5.社会健康保険・厚生年金保険は、従業員のみが対象です。個人事業主と家族従業員は、国民健康保険・国民年金への加入となります。

【 問合せ先 】

  • 所得税・復興特別所得税、消費税 ⇒  国税庁ホームページ
  • 住民税(都民税・道府県民税、市町村民税・特別区民税) ⇒ 住民票のある自治体
  • 個人事業税、地方消費税 ⇒ 事務所や店舗所在地の自治体(都道府県)
  • 固定資産税、償却資産税 ⇒ 事務所や店舗などの土地・建物や、償却資産の所在する自治体(市区町村)
  • 国民健康保険料(税)  ⇒ 住民票のある自治体(市区町村)
  • 国民年金 ⇒ 国民年金機構ホームページ

窓口や電話での問い合わせ以外に、ホームページから問い合わせが可能な自治体も多く有ります。ご自身の関係する自治体のホームページを確認される事をお勧めします。

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まとめ

いかがでしたか?個人事業を始めるためには様々な準備が必要となりますが、税金の事も忘れずに準備したいものです。特に所得税や住民税は、前年の収入額で決定した税額を納める事となります。健康保険や国民年金の支払も必要です。不明点などは税務署や自治体のホームページや電話等で、確認や問い合せを行うようにしましょう。

納税額や保険料の算出、申告書の作成、社会保険等の手続きは、専門知識が必要な事も有りますので税理士や社会保険労務士などへ相談・依頼される事をお勧めします。

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